中沢: |
「島課長、これから振動解析を勉強しようと思っているんですよ。」 |
島課長: |
「いいことだね。しっかりやりなさい。わからなかったら、なんでも聞いていいよ。」 |
中沢: |
「ところが課長、最初からわからないんですよ!」 |
島課長: |
「なに!?」 |
中沢: |
「振動の本を4〜5ページ読んだんですよ。」
「突然、振動方程式という言葉が出てきて・・・。」
「m+c+・・・とか言う微分方程式・・・なんですよぉ〜。」 |
島課長: |
「う〜ん、なるほど、なるほど。」 |
中沢: |
「やはり振動、難しいですね。」 |
島課長: |
「おい!おい!」
「まだ始まったばかりだろう。すぐあきらめるなよ。」 |
中沢: |
「あの本3000円で買ったんですよ。でも・・・。」
「もっとやさしく書いた本、探してきますよ。」 |
島課長: |
「新しく買わなくていいよ。」
「その本の振動方程式の部分を読み飛ばして、次へ進んだらどうかね。」 |
中沢: |
「振動方程式・・・。やらなくていいんですか?」 |
島課長: |
「建物の振動について勉強する場合、振動方程式よりもっともっと大事なことがたくさんあるんだ。」
「中沢君にわかりやすく説明すると・・・。」 |
中沢: |
「やさしくお願いします!」 |
島課長: |
「一次設計や二次設計をコンピュータを使ってやっているよね。解法としては変位法を使っているわけだ。」
「また、変位を未知数として導かれた多元連立方程式を解く方法も、スカイライン法やウェーブフロント法、その他たくさんある。」 |
中沢: |
「???・・・。」 |
島課長: |
「しかし、これらのことを知らなくても、立派に構造設計している人達がたくさんいるよね。」
「それは、結果について読むことができるからだ。」
「たとえば、計算が正しくされているか、釣り合いは満足しているか、応力や変位に異常はないか、入力データにミスはないか・・・。」
「さまざまな視点から判断し、最適な構造設計を造り出すことにある。」 |
中沢: |
「・・・少しわかってきました。」 |
島課長: |
「大事なことは、計算過程よりはその結果をどう読むか、どう判断するかということだ。」
「振動方程式を理解するより、もっと大事なことは・・・。」
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中沢: |
「はい、はい?」 |
島課長: |
「なぜ振動解析するのか?」
「出てきた結果をどう読むか・・・。」
「それを構造設計にどう反映させるか・・・ということだよ。」 |
中沢: |
「よくわかりました。」
「ところで課長、なぜ振動解析するのですか?」 |
島課長: |
「・・・。」 |
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(星 睦廣) |