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RC・SRC造高層建築物の耐震診断におけるそで壁付柱の反曲点高さの問題を解決

2013年3月28日(木)


概要

 施行から1年が過ぎた東京都の緊急輸送道路沿道建築物の耐震化条例により、高層の耐震診断案件が増えるに従い、第2次診断法における高層建物の連層そで壁付柱の反曲点高さの計算方法が問題視されるようになってきました。

 具体的に言いますと、そで壁付柱の反曲点高さの算出では、今まではRC・SRC造ともに診断基準式(※1)が用いられてきました。

 この方法は中低層の建物では比較的精度よく反曲点高さを求めることができますが、高層の建物では反曲点高さを大きめに評価する傾向にあり、実際と異なるため、判定委員会等で問題視されています。

診断基準式による実態に合わない反曲点 塑性解析による反曲点
【診断基準式による実態に合わない反曲点】 【塑性解析による反曲点】

 また、片側そで壁が連層に取り付く場合も実際にはそで壁が引張になる側でヒンジが生じて柱の両端にヒンジが生じることが多いのですが、診断基準式では考慮されておらず、やはり反曲点が大きく評価され問題があります。

  弊社では、この問題を解決するために、そで壁付柱の反曲点高さを塑性解析による方法でアプローチして、業界で初めてソフト化することに成功しました。この手法は基準書においては、上図の様な魚の骨を模したイメージ図で表現されますが、この部分は仮想仕事法を採用して解析しています。これらの手法を第2次診断法においても組み入れて、高層建築物の耐震診断及び改修設計にも対応できるように改良しました。

 この度、「BUILD.耐診RCI&II/2001年基準Ver.5<評価版>」(※2)にこの機能を追加し、にリリース(※3)いたしましたので詳細をお知らせいたします。


機能の詳細

 診断基準では、反曲点高さの計算に関して『反曲点高さ比の計算は、別途弾性応力解析、塑性解析の結果を用いてもよいものとする。』と記述されています。

 弊社では、塑性解析の手法を採用し、連層袖壁部分については仮想仕事法で求めることにより、第2次診断法においても反曲点高さを適切に評価する基準書によるイメージ図の方法を取り入れました。

 連層そで壁の部分を取り出し仮想仕事法を適用します。崩壊形が適切かどうか(真の崩壊形となっているか)の確認が重要で手間のかかる作業ですが、プログラムが適切な崩壊形を探しだし、適切な反曲点高さを計算します。

仮想仕事法によるそで壁の崩壊機構の形成
【仮想仕事法によるそで壁の崩壊機構の形成】


 以下のように、複雑なそで壁の配置にも対応することができます。

適用できるそで壁の配置
【適用できるそで壁の配置】


 以下のような形状では、診断基準式の結果は、下層でかなり小さめなせん断力になります。
診断基準式による不適切な結果 今回拡張した仮想仕事法による適切な結果
【診断基準式による不適切な結果】  【今回拡張した仮想仕事法による適切な結果】


検証結果

 以下に、今回拡張した仮想仕事法による反曲点高さの計算内容を、荷重増分解析の結果と比較(※4)した検証結果を示します。検証は、そで壁付柱の部分だけを取り出したモデルで行っています。

計算例:ケース1
計算例:ケース2(中間層でヒンジが生じる場合)



※1 「2001年改訂版既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準同解説」のP.229、付3-1式
診断基準式によるhcw0
※2 オプションプログラムを追加することで、RC造だけでなくSRC造にも対応することが可能です。
※3 「BUILD.耐診RCプログラムメンテナンス」ご契約中のお客様は、プログラム起動時の更新案内により、最新版のインストールを行うことでご使用頂けるようになります。
※4 上界定理に基づく方法である仮想仕事法に対する検証方法として、仮想仕事法による荷重(PU)と下界定理である弾塑性解析法による荷重(PL)が一致すれば、真の崩壊形となっていることを確認することができます。このため、荷重増分解析との比較を行っています。



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