業界初! 施工時の杭心ずれに完全対応したプログラムをリリース
構造設計において、確認済証が交付された後も気になるものは、杭の施工時に起こる杭心ずれ(施工誤差)です。この杭心ずれが起こっても安心できるか、できないかは、構造設計の信頼性にも関わるところで、これができていないと大きな手戻りが生じ、設計者だけでなく施主に損害を与えることにもなりかねません。
また、構造設計一級建築士制度の運用が本格的に始まり、構造設計者に与えられた課題は少なくありません。構造設計者の責任の範囲をより明確にしておく等、大きな責任をどこかで担保しておく必要があります。そのような中、業界初となる地中障害物などによる施工時の杭心ずれに完全対応するシミュレーション機能を杭・基礎梁一連計算プログラム「BUILD.GPIII」に追加し、11月下旬にリリースしておりますので、あらためて詳細にお知らせ致します。
今回機能拡張を行った施工時の杭心ずれに完全対応するシミュレーション機能は、カバーしたい施工誤差を入力(例:15cm)するだけで、実際の施工時に入力した誤差以内のずれであるなら、どの杭の、どの方向のずれであっても満足できるシミュレーションが自動で行えるというものです。施工後に、杭心ずれが指定した施工誤差以内かを確認するだけで検証が済み、実際の施工誤差を入力した再検討は不要になります。
先日改定された「静岡県建築構造設計指針・同解説2009年版」では、「設計においても、杭の施工誤差を考慮した検討を行っておくこと」と明記される等、杭の施工誤差検討に対する要求は、益々高くなる状況です。以下の解析方法の概略をご覧いただき、このプログラムの有用性を知っていただければ幸いです。
多層地盤に対応した杭・基礎梁一連計算プログラム「BUILD.GPV」は一貫計算ソフトとデータリンクもしますが、単独でも使用できるプログラムです。また、独立基礎の偏心による基礎梁の検討や支持力の検討にも対応しています。
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偏心杭位置および施工時の杭心ずれを考慮したモデル化(支点位置等)は以下の図のようになります。 |
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杭心ずれにより発生する心ずれモーメントを設計上の杭心位置に作用させます。以下の図は、ある杭について全体座標系のY軸回りの心ずれモーメントを作用させた状態を示します。心ずれモーメントは、施工時の杭心ずれ誤差を15cmとした場合は、(15cm×杭反力)のモーメントを作用します。
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全ての杭位置に対して、2.と同様に、心ずれモーメントを作用させます。以下の図は、2.より右隣の杭に対してモーメントを作用させた状態を示します。
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上記と同様にして全ての杭位置において、心ずれモーメントを作用させて応力状態を作ります。さらに全体座標系のX軸回りの心ずれモーメントを全ての杭位置に作用させ応力状態を作ります。 |
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以上のそれぞれの応力状態の絶対値を全て重ね合わせることで、目的とする最大の応力が得られます。 |
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上図は、分かりやすくする為に、X方向フレームの応力のみ表記しています。また、基礎梁上端引張となるモーメント図を表記していますが、対照的となる下端引張のモーメントもあります。 |
【参考文献】 |
監修:
発行:
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国土交通省住宅局建築指導課・独立行政法人建築研究所・
日本建築行政会議
日本建築防災協会・日本建築構造技術者協会
「改正建築基準法による 構造計算書作成の要点と事例」
P.270 「(4)くいの偏心に対する基礎梁検討」 |
上記文献を参考に、拡張されたモデル化や解析方法を採用しています。 |
「BUILD.GPIII」の製品内容は以下を参照して下さい |
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