基礎梁設計に影響を与える杭心ずれのパターン
ここでは、施工時の杭心ずれを予想した設計をするときに、杭心ずれパターンを何ケースシミュレーションすればよいかについて考えてみます。
施工時の杭心ずれがどの方向にずれるかは予測が出来ないために、下図のようにあらゆる方向の杭心ずれパターンを想定する必要があります。
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1図 |
当初設計時の杭心位置から上図に示すように、8方向に杭心ずれが起こると仮定し、さらに杭心ずれが起こらない点も加えますと、9つの杭心ずれ位置が想定されます。
ここで、1スパン×1スパンの最小の構造で考えた場合、杭本数が4本ですので、杭心ずれ位置の組合せパターンは 9の4乗=9×9×9×9=6561パターンあることになります。
ある条件下で、これら6561パターンについて「BUILD.GPIII」の杭心ずれシミュレーション機能を使って計算しました。(※1 詳細は巻末を参照)
すると、次の杭心ずれパターンのときに、それぞれの基礎梁の断面検定が最も厳しくなりました。
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2図 |
3図 |
4図 |
5図 |
6図 |
つまり、6561パターンの計算をしなくても、基礎梁設計に最も厳しいこの5パターンのシミュレーションをするだけで、6561パターンの結果をも包含することになります。
このように基礎梁設計に厳しい杭心ずれパターンをあらかじめ選出できれば、少ない計算でシミュレーションができることになります。
上図の2図〜5図のパターンは、1図の8方向の内ある方向に平行移動したパターンであることがわかります。
ゆえに、杭心ずれシミュレーションにおいては、次の8パターンを基礎梁設計には厳しいパターンとして位置づけられます。
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11図 |
12図 |
13図 |
14図 |
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15図 |
16図 |
17図 |
18図 |
この8パターンは、基本パターンとして、杭の数が多くなっても簡単な書式で入力指定ができます。
残ったパターンは6図となりますが、6図のパターンは複数スパンになると厄介です。
まず下図は、6図の複数スパンのときの基本パターンとなり、これもシミュレーションに加える必要があります。
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19図 |
さらに6図に関する変形パターンを次の2スパン×2スパンの例で示します。厳しいパターンである基本形の20図,30図,40図,50図に6図が組み合わさることで、それぞれ次の4つの変形パターンが形成されます。
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20図 |
21図 |
22図 |
23図 |
24図 |
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30図 |
31図 |
32図 |
33図 |
34図 |
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40図 |
41図 |
42図 |
43図 |
44図 |
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50図 |
51図 |
52図 |
53図 |
54図 |
これら11図から54図までの基礎梁設計に厳しいパターンのシミュレーション(※2)をすることで、あらゆる組合せパターンを計算したと等価に近い結果をもたらすことになります。
これより、2スパン×2スパンの建物なら、25パターンのシミュレーションが必要になります。
現在、2〜3の心ずれパターンを計算してあれば、確認申請は問題なく通りますが、実際施工時の心ずれが生じたときには、問題が大きいため大変です。
杭心ずれシミュレーションは、様々な心ずれパターンを簡単なデータ指定でシミュレーションしてくれますので、施工時の杭心ずれがあっても「軽微な修正」で済ますことができ、安心できる設計ツールと言えます。
(※1)
6561パターンの解析
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1スパン×1スパンにおける杭が4本配置した6561パターンを解析すると最新のコンピュータで6時間掛かります。杭が一本増えるたびに約10倍の組合せパターンが増大し、同時に10倍の計算時間がかかりますので、まともに計算することは現実的ではありません。 ここでは、6561パターンのデータをつくるのは大変なため、プログラミング化してデータを作成してシミュレーションを行いました。2スパン×2スパンに関してはある程度の組合せパターンを計算して前述した内容をまとめてました。 |
(※2)シミュレーションのパターン数 |
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iスパン×jスパンのシミュレーションパターン数
=杭心ずれの平行移動パターン8ケース + 19図のパターン1ケース + 4×(i×j)
=9+4×(i×j) |
「BUILD.GPIII」の製品内容は以下を参照して下さい |
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