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■地震動応答解析のおはなし
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第11話 「振動解析の目的は?(その2)」


中沢: 「先日の話で、串ダンゴモデルがどのようなものかわかった気がします。」
島課長: 「階の自由度に縮合した弾性剛性マトリックスというのが、絵で表すと串ダンゴの形になるわけなんだ。」
中沢: 「この串ダンゴモデルが、建物を等価にモデル化しているとは驚きですね。」
島課長: 「小さな自由度にすること(未知となる変形の数を消去して少なくしたこと)で 建物の解析が高速になるため、振動解析ではよくやる方法なんだ。」
中沢: 「このモデルで解析すると、各層の変形や層せん断力は直接的に得られると思うんですが、各部材(柱や梁)の応力はわからないんですか?」
島課長: 「柱や梁の時刻歴の応力変化も全てわかるよ。」
中沢: 「あの串ダンコモデルから、どのようにして柱・梁の応力を導き出すのですか?」
島課長: 「それは後退代入をすることにより、全ての柱・梁の変形状態も導き出すことができ、部材の応力もわかるってわけだ。」
中沢: 「後退代入って、なんですか?」
島課長: 「前回に、3元連立方程式について説明したよね。そのときに、Xを消去して未知数を少なくした。これを繰り返すことにより、最終的には未知数が1つになり、その未知数が解ける。こんどは、その逆をたどっていけばいいんだ。」
中沢: 「ということは、例えばZの値が求められたら、次にYの値がわかり、さらにXの値がわかる、というように戻って解いていくわけですね。このように逆にたどって解くから、後退代入というんですね。」
島課長: 「そういうことだ。この考えと同じことで、縮合したマトリックスが串ダンゴモデルであるから、このモデルにおける解析ができると、さらに後退代入を続けることにより、縮合する以前の全体マトリックスの解もわかり(全ての柱、梁 の変形がわかるということ)各部材の応力も求まるってわけだ。」
中沢: 「ということは、柱・梁におけるこの応力状態で許容応力度設計をやっても良いわけですね。」
島課長: 「中沢君の言うとおりにやることはできるが、通常はそのようなことはしないね。」
中沢: 「どのような考えで、やらないわけですか。」
島課長: 「まず、第一に計算時間がかかると言うことがある。各時刻毎に後退代入し、各部材の応力を求めるわけだから、計算量が膨大になるってわけだ。また、このように精度良く求めても、ある地震波の一つの結果であり、地震波そのものが、 実際のそれと異なっていることを考えると、もっと計算を簡単にし、そのかわり安全側の考え方を取り入れれば、より信頼性の高い結果を導き出すこともできるんだ。」
中沢: 「計算を簡単にし、安全側の考え方とはどういうことですか。」
島課長: 「前回話した続きになるが(第10話の図2参照)、串ダンゴモデルにおける地震動応答解析結果として、各層の最大層せん断力が得られる。これらの最大値 は、各層ごと異なった時刻の時に示したものであり、同時刻ではないということだ。これを同時刻に起こったと考えると安全側に評価していることになる。 また(第10話の図3参照)複数の地震波について同様に計算し、それぞれの 最大せん断力の包絡した分布を考える。これも地震力をより安全側な考え方で まとめようとしていることになる。」
「このようにして得られた層せん断力から建物に作用する地震力をつくり、それをもとに一次設計を行うという考え方は、計算時間や手間を省くだけでなく、この条件でOKという結果がでれば、前述した時刻ごとに部材応力を算出するような手間をかけた計算結果も必ずOKとなることを保証していることになるわけだ。」
中沢: 「なるほど、手間をかけて細かい計算をしなくても、より簡単で安全側な考え方のもとでOKならば、それで全てがOKということですね。」
島課長: 「その通りだ。手間を省くという点でもう少し補足説明すると、例えば、部材ごとの応力を求めようとすると、各節点(柱・梁の接合点)ごとに質量を入力しなければならないが、串ダンゴモデルの場合は、各層ごとにまとめた質量を入力すればよいので、入力が少なくてすむということがあるね。」
中沢: 「なるほど、いろいろなことを考えた上で、このような方法が導き出されたということがわかりました。」
島課長: 「さて、いままではレベル1の地震動についてどのような目的を以って行うか、について話してきたが、ここでもう一度原点に返って整理してみよう。」
中沢: 「レベル1の地震動については、以前詳しく話して頂きましたね。(第6話参照)」
『レベル1の地震動とは、当該建築物の耐用年数中に一度以上受ける可能性が大きい地震動を指し、この地震動に対して主要構造物は、概ね弾性的な挙動で応答することを目標とする』
島課長: 「このレベル1の地震動とは・・・。という文章を満足させるために、今まで話したような手順をひとつの例として考えてみたわけだが、実際はいろいろなルートがあっていいと思うね。」
「構造技術者が、対象としている建物をどのようなスタンスで対処しようとしているかが大事なんだ。部材レベルの立体振動解析が最高の解析レベルだとして、安易に解釈し、使用することは最も危険だね。例えば、現在所有している道具 (ソフト)だけで、どうモデル化し、どう料理してみるかな、とまず最初に考えて欲しいね。」
中沢: 「よく解りました。構造計算とは、細かい計算をするばかりが能でなく、全体的 なバランスが大事だということですね。次はレベル2における考え方を教えてください。」
(星 睦廣)


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