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■構造設計者のための技術情報


S造においてCoを1.0として1次設計を満足していれば、
増分解析をしなくてもルート3を満足していると考えてよいですか?


2010年4月
関連製品名:BUILD.一貫IV+


Q.

S造において、標準せん断力係数Coを1.0とした地震力で1次設計を満足していれば、増分解析による保有水平耐力計算をしなくてもルート3を満足していると考えてよいでしょうか?



A.

告示により「保有水平耐力はメカニズム時耐力以下の数値としてよい」と規定されています(平成19年国土交通省告示第594号第4第1号、「2007年版 建築物の構造関係技術基準解説書」P304参照)。つまり、S造部材は降伏まで弾性ですので増分計算でメカニズムを求めなくとも、ある水平力で許容応力度計算(1次設計)を行い、生じた応力が許容耐力以下であることを確認すれば、その水平力だけの保有水平耐力は確保出来ていると考えることができます。

すなわち、標準せん断力係数CoをDs×Fes×Z×Rtに相当する値とした地震力で1次設計を満足すれば、そのDsに対応する保有水平耐力を有していると言えます。弊社の「BUILD.一貫IV+」では1次設計の標準せん断力係数は、許容応力度計算データの[ELD1]で変更することが可能です。

この場合のDs値は、塑性変形能力は全く無い(降伏後にすぐ破断・座屈する)としてDs=1.0とすることになります。

この考え方の前提として、横座屈、局部座屈、および仕口・継手の破断が生じないことの確認をする必要があります。座屈については許容曲げ応力度および許容圧縮応力度(いずれも降伏応力度より小さな値)により考慮され、継手は大梁の降伏応力度に対して検定を行うため、許容応力度計算で自動的にこの前提を満足していることになります。仕口については許容応力度計算を行う機能はありませんので、代替として保有耐力接合の検討をすることになります。保有耐力接合の検討はルート3のデフォルトでは行われませんが、許容応力度計算データ[DES4]の指定によりルート2の場合と同じ検討を行うことができます。

冷間成形角形鋼管を使用している場合の崩壊形の判定および柱耐力の低減については、Dsを1.0とする場合は保有水平耐力時に降伏は生じず、柱崩壊は無いと解釈できるため考慮は不要であると考えられます。

なお、許容応力度計算データ[BAS3]でルート3を指定し、保有水平耐力計算データ[ULA1]でX方向とY方向の解析をいずれも「N(解析を行わない)」とすることで、ルート判定はルート3で行い、かつ増分計算を行わない処理とすることができます。


【補足】
一般的な部材や接合方法を用いれば最低限の(Dランク相当の)塑性変形能力を保持しているとして昭55建告第1792号第3第4号に定められているDs値の最大値(純ラーメン架構では0.40、ブレース付き架構では0.50)を採用する方法も考えられます。この場合、冷間成形角形鋼管を使用している場合の崩壊形の判定および柱耐力の低減は、別途考慮する必要があります。


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