横座屈が起きた時を保有水平耐力算定とする考え方について
Q.
横座屈が起きた時を保有耐力算定とする考えについて教えて下さい。
A.
保有水平耐力算定時とは、どのような崩壊形の時を指すのかという話において、現行では“S造の建物における梁の横座屈時もメカニズムと考える”ことが一般的です。(※1)
この取り扱いについて、設計者の中には「厳しすぎるのではないか?」「不経済ではないか?」という意見もあるようですが、横座屈は座屈後に耐力低下を起こすため、床等の支持能力がなくなり、メカニズムの状態であると考えられ、部材群としての種別をDとする取り扱いとなっています。
以下に弊社の「BUILD.一貫IV+」における横座屈の認識方法と入力制御について示します。
横座屈強度が大梁の全塑性モーメントよりも小さい時は横座屈強度を大梁端部の終局耐力とし、その耐力に達した時に塑性ヒンジを発生させています。そのため、塑性ヒンジの中には、曲げ降伏に達した梁と横座屈が発生した梁の2種類が混在します。ここで横座屈強度とは、横補剛位置での横座屈モーメントを大梁端部の耐力に換算した曲げ耐力を指します。(※2)
また、横座屈強度が大梁の全塑性モーメントよりも小さくなる部材に対しては、注意メッセージ「3603 塑性設計指針による横座屈強度の検討により、部材耐力を低減した
通り:○○ 階:○○軸:○○」を出力します。
横座屈強度を考慮した終局耐力の計算を行うには、保有水平耐力計算データの[ULA4]の14項目で「鉄骨梁の横座屈強度の考慮」を「考慮する」にする必要があり、デフォルトは「考慮する」となっています。
横座屈強度を考慮した曲げ耐力の計算を指定したうえで、保有水平耐力計算データの[NST0]の5項目で「保有水平耐力決定時の鉄骨梁の扱い」を「横座屈を考慮する」と指定することにより、横座屈の発生時点を保有水平耐力とする処理が行われます。そして、横座屈の発生時点を保有水平耐力とした場合は、計算書の「保有水平耐力と必要保有水平耐力の確認表」において、保有水平耐力の決定条件に「鉄骨梁に横座屈が生じた」と出力されます。(※3)
もし、[NST0]の5項目を「横座屈を考慮しない」と指定して計算を行い、横座屈が生じた時点より後のステップを保有水平耐力とする結果となった場合は、警告メッセージ「2624
保有水平耐力時において鉄骨梁に横座屈を生じている」を出力します。(※3)
なお、入力やモデル化の都合上、ダミー的な梁を入力する場合がありますが(※4)、このダミー的な梁も横座屈を考慮した保有水平耐力の制御対象となりますので、制御の対象から外したい場合は、保有水平耐力計算データの[RST1]にて耐力の直接入力を行って下さい。
※1 |
(財)建築行政情報センター(ICBA)のホームページ「改正建築基準法Q&A検索システム」-「構造関係基準に関するQ&A」の質疑番号26より
|
※2 |
横座屈強度の計算内容は、「BUILD.一貫IV+」のユーザーズマニュアルvol.1の 「4.2.3 (1) 1) e) 塑性設計指針による横座屈強度」を参照して下さい。 |
※3 |
この方法を用いるには、Ver.1.50以降のバージョンを使用する必要があります。 |
※4 |
五角形以上の多角形の床組を認識させる場合や、 隣り合う2本の柱の柱頭部が繋がる時に節点の同一化ができないため、 ダミーの短い梁を配置する場合に用いられる。 |
|
[構造ホットラインへ戻る]
トップページへ
Copyright (C) KozoSoft Co.,LTD All rights
reserved.
|