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■構造設計者のための技術情報


RC造で接合部破壊となった場合の対策

2010年1月
関連製品名:BUILD.一貫IV+


Q.

RC造の接合部の検討でNGとなった場合の対策には、どのような方法がありますか?



A.

接合部のせん断破壊が起きやすくなる条件には、以下のような項目があります。

・延べ床面積に対する柱断面積率が小さい場合
・階高の割に梁せいが小さい場合
・梁の引張鉄筋量が多く又、材料強度が大きい場合
・コンクリートの強度が小さい場合
・梁が柱に偏心してとりつく場合

これらの項目を解決すれば、接合部の検討を満足させることができます。しかし、耐力式を見ると鉄筋で補強できる項目はありません。設計する上で、ここが一番の問題点となります。


問題点から考えられる対策を列記してみます。

1. コンクリート強度を上げる。
2. 梁主筋を大口径にして本数を減らす(外端、内端を分ける)。
3. 梁配筋をフェイスにて算定して余裕を見ずに本数を減らす。
4. 梁幅を上げる(柱・梁のコア部分体積を増やす)。
5. 柱断面を上げ、梁との適正断面を探す。
6. 最上階は柱配筋を調整する。
一般階では短期設計せん断力が上下階の柱の平均値から決まりますが、最上階では下階のみで決る為、配筋を調整することで短期設計せん断力を小さくできます。例えば、8−D25(at=40.56)でNGでも10−D22(at=38.7)でOKの場合があります。
7. 定着板を使い、柱有効せい係数を0.75(告示)→0.80〜0.85にする。
ただし、定着板は使用規制されている場合が有る為、確認が必要です。また、仕口内フープはタガ型では定着板に当たりますので、溶接閉鎖型(パッド溶接)等注意する必要があります。
8. 柱と梁を偏心させない。

7.までは設計後のNGに対しての対策(耐力を上げるか、応力を小さくするか)であり、1.は経済性の問題があり、2.3.6.は建物の余裕が無くなる方向、4.5.8.は意匠と設備に影響し、7.は施工性や経済性に問題があります。

これらを考慮した上で部分的にNGが出た場合は、1.〜8.を試してみる価値はあると考えられますが、断面を変えるとなると、基本設計に影響する為、仮定断面の段階で考慮し、実施設計でNGにならないように考えてみましょう。

『RC造で接合部破壊とならない柱・梁の仮定断面を決める方法』も参照して下さい。


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